Japanese Society for Study of Bone and Joint Infections

理事長 森井健司
私たち人類にとって、感染症は有史以来つねに大きな脅威であり続けてきました。医学が発展した現代においても、解決すべき課題が残っているのに加え、より複雑な新たな感染症も登場しています。感染症の制御は、人類の健康を守るために普遍的なテーマであります。
骨・関節領域の感染症も例外ではありません。骨や関節の機能は、人類が文化的な生活を営むうえで不可欠な基盤であり、これを侵す感染症は生活の質を著しく損うばかりでなく、時に生命をも脅かします。整形外科をはじめとする多くの専門領域の連携のもとに、適切な診断と治療を進めていくことが強く求められています。
本学会は、こうした骨関節感染症への対応を目的として1980年に活動を開始し、以来、診療・研究・教育を通じてこの分野の発展に寄与してまいりました。歴代の学会長・理事長ならびに会員の皆さまの不断のご努力により、今日に至るまで大きな成果を挙げてきたことに深く敬意を表します。
私は2025年より、この伝統ある学会の理事長を拝命いたしました森井健司と申します。医師を志して以来、一臨床医として「患者さんの回復を支え、自分らしく日々を送ることができるようお手伝いすること」を信念として歩んでまいりました。今後は、学会活動を通じてその理念をさらに広げていきたいと考えております。
現在、本学会(JSSBJI)では、年次学術集会の開催、臨床研究の推進、感染制御ドクター(ICD)制度との協力、国際委員会を通じた海外との連携、さらには迅速遺伝子検査をはじめとする先進的研究、ガイドラインの作成など、多様な事業を展開しています。医療の世界はますます複雑化し、経済的・社会的要請や感染症の動向も時代とともに変化し続けています。また、医療現場の人手不足、多職種連携の必要性、そして国際化に伴う新興感染症への対応といった新たな課題にも直面しています。
私は理事長として、こうした変化の時代にあっても、本学会が骨関節感染症の診療・研究・教育を通じて、患者さんの生活の質の向上に貢献し続ける学会でありたいと願っております。微力ではございますが、皆さまとともに力を尽くしてまいる所存です。今後ともご指導とご支援を賜りますよう、心よりお願い申し上げます。
2025年 日本骨・関節感染症学会
理事長 森井健司